春の手仕事、イタリアントマトの苗づくり——湯たんぽから始まる物語

春の手仕事、イタリアントマトの苗づくり——湯たんぽから始まる物語

イランカラㇷ゚テ!(アイヌの言葉で「こんにちは!」)

好きなスパゲティはナポリタンです。
Amazonオーディブルで最近聞いた小説「喫茶おじさん」の中に出てくるナポリタンを再現したい研修生Hataです。

いつもご愛読ありがとうございます。

北海道の春は、やさしいようでいて、どこか意地悪です。

日差しに誘われて外に出てみると、風がまだ冬の名残を抱いていたり、夜になれば冷え込みがぐっと厳しくなったり。そんな中で、私たちは今年もまた、春の小さな命をそっと育て始めました。

4月上旬。まだ雪が舞う日もあるような早春に、私たちはイタリアントマトの種を蒔きました。

とはいえ、地温はまだ低く、ただ種を土にまいても発芽してくれません。そこで登場したのが、昔ながらの知恵——湯たんぽです。

部屋の中で、湯たんぽの上にトレーを置き、じんわりと温めること数日。

まるでお布団の中にいるようなぬくもりのなか、土の中で眠っていた種が、ゆっくりと、でも確実に目を覚まし始めました。

湯たんぽの上で発芽させたトマトの種

小さな芽が顔を出したら、今度はビニールハウスの中へ。

けれど、ただ置くだけではありません。ビニールハウスの中に、さらにビニールをかける「二重」ならぬ「三重」の保温対策。朝晩の寒暖差から小さな芽を守るためのひと手間、ふた手間です。

根が出た種を土の中へ

暖かい日には、ビニールハウス内の温度が50度近くまで上がることもあります。

そうなると今度は暑すぎてしまうので、ハウスの開け閉めにも神経を使います。

日々の天候と相談しながら、温度管理に奮闘する毎日です。

ようやく双葉が開き、本葉が数枚出てきたころ、苗たちは一回り大きなポットへ引っ越しました。

本葉が出たので大きなポットへ植え替え

根がしっかり張れるように、土の質や湿度にも気を配りながら、ひとつひとつ丁寧に植え替えていきます。

この作業もまた、春の大切な手仕事のひとつ。

「1段目の花が咲いたら畝に定植」と言われるイタリアントマト。

それまでは、まだまだ育苗段階が続きます。とはいえ、気温が上がってくると、苗の成長はぐんと早まります。

人も植物も同じですね。寒い間はじっと耐え、暖かくなると一気に背を伸ばすのです。

農作業というと、広い畑やトラクターの風景を思い浮かべる方も多いかもしれません。

でも、実はこうした「種から育てる」一連のプロセスにこそ、農の醍醐味があると、私は感じています。

手間をかけるたびに愛着がわき、小さな変化に気づける心が育ちます。

特にイタリアントマトは、加工しても味が濃く、我が家では自家製のトマトソースやドライトマトに欠かせない存在。

北海道の短い夏を凝縮したような甘みと酸味は、一度食べると忘れられません。


今年の夏には、またあの特製トマトソースで作るパスタをみなさんにお届けできるかもしれません。

それを思い浮かべながら、今日も苗の様子を見に、ビニールハウスへと足を運びます。

手間がかかるって、幸せなことかもしれませんね。



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今回も、最後までお読みいただき、ありがとうございました。

スイ ウヌカラアン ロー!(アイヌの言葉で「またお会いしましょう!」)

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北海道厚真町でハニーベリー(ハスカップ)農園を営む”畑嶋ハスカップ農園”です。
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